早期退職を防ぐ採用
せっかく採用した社員が早期退職をしてしまった。
こういった経験を社長や人事の方なら一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
コロナにより一時は混乱や落ち込みがあった経済や採用市場もwithコロナへの移行に合わせて、回復の兆しを見せ始め、再び企業にとって採用難の時代へと突入していくことが予想されます。
採用すること自体が難しい時代において、重要なことは新入社員の定着と早期立ち上がりです。そのためにも、まずは早期離職が会社にもたらしている影響度が資金の面から見たらどのくらいか大きいかという現状認識から始めることが大切になります。
早期離職による影響を数字で認識する
早期退職が続いている場合にまず最初にやって頂きたいことは、早期退職によって生じた損失を数字で確認できるようにすることです。まだ、数字で確認したことがない場合はぜひ以下の数式に数字を当てはめてみてください。
『社員の売上 ― (採用コスト+給与) = 利益/損失』
例えば、入社後10ヶ月後に退職してしまった場合を検証してみましょう。
【想定条件】
1~3か月:研修期間のため月間売上目標0
4~6か月:月間売上50万円
7~9ヶ月:月間売上80万円
10~12ヶ月:月間売上100万円
人件費:月給40万円(給与+交通費+社保など諸々)
採用コスト:62万円
媒体費用:60万円
人件費 :2万円(面接担当者+日程調整担当者分)
社員の売上:490万円{内訳:(50×3)+(80×3)+100}
採用コスト:62万円
給与 :400万円{内訳:40×10}
490 - (62 + 400) = 28
この社員を採用して会社が得た利益は28万円ということになります。入社から10ヶ月で採用コストまで含んでも利益を生むことが出来る社員が定着して活躍し続けたとしたら、どれほどの利益を生んでくれるでしょうか。
また、同じ営業であっても、上記社員のように毎月営業目標を達成できない社員だった場合ではどうでしょうか?
社員の売上(達成率80%の場合):490×0.8 = 392
392 - (62 + 400) = -70万円
ただ、この社員も2年目以降も定着してくれた場合、たとえ目標達成率が80%だったとしても、2年目以降は会社に利益を生んでくれる存在になります。
しかし、1年も経たずに退職された場合、上記の例だと会社は70万円の損失を被る結果となってしまいました。
まとめ
今回は、早期離職を防ぐ採用方法を構築する前の段階として早期離職がもたらす会社への影響をキャッシュ面から捉えてみました。
改善をする際には、その改善をすることによる影響を客観的に測れるようにしておくことが改善を上手く進めていくための大事な一歩であり、土台になります。
ぜひ、これまでの早期離職者のデータを活用して頂いて、直近3年間くらいの早期離職者による損益状況を出してみてはいかがでしょうか。
(補足)
早期離職者の場合に加え、定着してくれている社員の損益状況も計算してみてください。このデータは、実際の採用活動に関する改善をしていく際に利用します。